よくある質問

税務調査はなぜ必要なのですか?
日本の税制は、「自主申告」を軸に構築されています。税務調査は、この自主申告制度の正確性を担保するために存在するものです。
「マル査」の呼び名で知られる「国税局査察部」による強制捜査と、国税局内の他部署や税務署が行う任意調査があります。
ただしこの任意調査も、法律的に拒否権は認められておらず、正当な理由なしに拒否することはできません。
どういう基準で税務調査の対象は決められるのですか?
税務署は「必要と認められる申告」から調査を行います。「必要」というのはつまり、「誤りや虚偽の可能性のあるもの」ということです。
この可能性を判断するうえで、もちろん基準となるポイントがあります。公にすることはできませんが、やはりこうした「チェックポイント」を明快にしておくことで、余計な時間を取られることを避けたいものです。
告知された調査日程は変更できないのですか?
任意調査には、事前通知を行うものと、抜き打ちで行うものとがあります。通知がある場合には、正当な理由があれば納税者の都合に合わせて日程を調整することができます。
なお、当日の対応の目安として、事前通知の際に日数や調査員の人数等を確認しておくとよいでしょう。
税務調査にはどのくらい日数がかかりますか?
税務署側がその調査をどのように捉えているのかにより、所要日数はことなります。
基本的に、簡易調査・一般調査・特別調査という区分があり、それぞれ2日・4日・8日ほどが目安となっています。
なお、この日数はあくまで調査担当者が要するものであり、調査の期間とは異なります。
税務調査で調べられるのはどのようなことですか?
調査対象となるのは、決算書・総勘定元帳・各種補助簿から、帳簿類作成の元となる請求書や領収書、さらにはその作成元となるメモ等の原始記録や電話帳、カレンダーまで、関係性が認められる書類すべてです。
書類以外にも、作業の現場やその状況についての確認が行われます。
基本的には、調査の対象は事業における申告の範囲に限られるのですが、資金の流れに不明瞭な点があり、記帳に不備がある等の状況においては、申告と直接関係のない部分についての指導にも応じなければならない可能性もあります。
税務調査で申告の誤りを指摘されたのですが、指摘された事項は絶対に正しいのですか?
故意に売上や経費を操作していた場合や、明らかな誤りを除けば、調査で指摘される事項の算定金額は推計(何らかの根拠により予測算定)にもとづいたものであることもしばしばです。ケースによっては、指摘の事項(売上計上漏れや仕入計上誤り等)も変わることがあります。
調査における指摘は基本的に、記帳や記録類の不備がある場合に生じることですが、単に「不明瞭な事項」というだけでも、調査の際にきちんと説明できない等ということがあれば起こりえます。
調査担当者は調査のプロですが、あらゆる業種の精通者ではありません。加えて、時間や記録保存状態といった面での制約もあり、客観的に一部の計数や同業者計数によって指摘金額を算定することで、指摘金額が本来の誤り金額より相当過大な金額になっていることもままあります。
質問を受けたことには、的確な回答ができる準備が必要ですし、そのうえで、指摘事項や金額については納得できるまで分析してみることが必要です。
修正申告と更正決定はどう違うのですか?
「修正申告」とは、申告の誤りに自ら気付き、自身で申告を修正(税額が増加する場合/減少の場合は「更正の請求」)する手続きです。
一方「更正決定」とは、誤りがあるにも関わらず修正しない場合で、税務署側が強制的に誤りを是正する手続きのことを言います。
更正決定には課税側に相当の事務等負担が発生する他、正しい所得を算定するには納税者本人の協力が不可欠です。
そのようなことから、一般的な調査では誤り等があった場合は、調査担当者から修正申告を提出するように指導されます。これを放置したり、調査に応じない等すると、一定の手続きを経たうえで更正決定されることがあります。
それぞれの行為の性質から、再度の是正(税額の減少又は増加)に関しては、後の行為の可否や方法に違いがあること、更正決定の場合は必ずしも自己の所得に応じた決定がなされるとは限らないこと等、留意する必要があります。
やむなく修正申告をしましたが、税金はどのくらい必要ですか?
修正申告による本税は、事前に説明を受けてから申告します。最近では、これに付随する加算税や延滞税についても説明があると思いますが、概略は以下のとおりです。
【修正本税(単年度)50万円の場合】
過少申告加算税
10% 50,000円 
(仮装・隠ぺいの場合は35%)
延滞税
A 法定納期限から修正後2カ月以内 7.3%(年換算)
B A以降 14.6%(同上)
※現在Aの7.3%部分の場合は減率適用があります。
※仮に22年3月末決算の法人で、同年11月30日に修正申告して同日本税納付した場合の延滞税。
500,000円×4.3%×183/365日≒10,700円 
◇上記の他にも、消費税、事業税(特別税含)、住民税の他、個人の場合は国民健康保険料の追徴がある場合もあります。
修正申告をしましたが、一度に納付することが難しい状況です。
税金の納付は期限内(修正申告の場合は修正申告のとき)に一括納付が原則ですが、追徴となった場合に、誰もがすぐに納付できるとは限りません。
万が一、即納が困難になった場合に備え、納税猶予による分割納付等、国税徴収法上の宥恕(ゆうじょ)規定がありますので、資金繰り等を添えて税務署で相談することも可能です。
税務調査対策として、どんなことが有効ですか?
調査の対策と言っても、「これだけをやれば大丈夫」といった限定的な対策はありません。やはり、会計や税務の処理が正当になされ、後から見てもその内容の説明ができるような帳簿組織・記録等の保存体系を常日頃から備えておくことが一番です。
また、こうしたことは自己の業種や取引等の形態にマッチさせたうえでなされたものであることが必要です。
調査は数年前の取引等に及びますし、これを記憶で補うことは困難です。ましてや、調査に不慣れな一般の方が、調査担当者にあれこれ質問されて的確に回答することはほとんど不可能でしょう。
たとえ解らないこと、すぐに回答できないことがあっても、記帳書類等の裏付けがあれば調査の当日も自信を持って対応できますし、なによりこれは事業の発展に必要不可欠なものです。
もちろん、ご自身だけで全てを行うことは困難なことが多々あるかと思います。そうした時こそ、経営のパートナーとして、信頼のできる、より良い税理士にご依頼いただくことが重要です。
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